秋田米.com ごはんのふるさと秋田から


マタギで知られる北秋田市阿仁は、かつて江戸時代から隆盛を極めた全国有数の鉱山の町でした。この山で働く鉱山労働者らが、夏場の水分補給に好んで食べたのが、小様地区で採れる在来種、小様きゅうり。清水で冷やして丸かじりが定番で、霜降りの外皮、溢れ出るようなみずみずしさとほろ苦さは、独特の風味です。でも、クセのない小振りな品種が全国に普及して昭和40年代には栽培する農家も絶えてしまいました。その味わいがこの夏復活!栽培に取り組んだ小様地区の生産者の皆さんは、その懐かしいほろ苦さとともに、よみがえる子ども時代の思い出を噛みしめています。

昨年、平成21年の県農業試験場に種が保存されていることをJAの役員が知り、譲り受けたのがきっかけでした。「小様きゅうりを復活させよう」という呼びかけに、柴田金美さんら小様地区の14戸の農家がこたえ、約200本の栽培が始まりました。参加した中には、およそ40年前の小様きゅうりを知る世代も多く、きゅうりの生長とともに当時の思い出もよみがえったといいます。
無農薬で丈夫に育つ苗、大振りの実を支える添え木には、昔から間伐材が使われたこと、小様以外の土地で育てるとこの味にならないのも特徴です。当時は、夏場の現金収入として農家がこぞって鉱山住宅に売りにいき、「こじゃま(小様)のきゅうり」というとよく売れたそうです。また、当時の子どもたちは、近所の畑から失敬してよく食べたので「畑に入るとカッパが出るぞ!」とおどかされたことも懐かしい思い出でした。


7月上旬から始まった初の収穫はなかなかの豊作でした。スーパーで見かけるきゅうりのほぼ2倍というヘビー級で、久しぶりの味わいはやっぱり独特。でも、昔を知っている農家のお母さんたちがちょっと腕まくりするとおいしい料理に変身します。もぎたてに味噌をつけて丸かじりというのが一番ですが、一夜漬け、酢のもの、キムチまで、レシピもいろいろ。もぎたてのほろ苦さも、漬け物や酢のものにすると和らいで食べやすくなります。
 
栽培復活を農家に呼び掛けた地元のJA監事戸嶋喬さん(写真後列右端)は、以前から小様きゅうりに関心を寄せていたひとりです。旧阿仁町の農林課長として勤めていた頃、東京などの大学・研究者から何度となくあった、小様きゅうりに関する問い合わせに応じられなかったことが、ずっと気がかりでした。その頃はもう栽培する人も種子もなかったのですが、今回の復活で念願かなったといいます。
小様きゅうりが、ほかの土地では同じ味は出せないという要因はまだ解明されていません。それに、まだ栽培を再開したばかりで、市場に出荷する予定はありません。今のところは、せっかく復活した在来種の遺伝子を守り続けることが当面の目標です。復活した小様地区限定の在来品種を今度こそ守っていこうと、生産者の皆さんははりきっています。
阿仁・小様地区の生産農家のみなさん




小様きゅうりの味わいは、一般的なきゅうりとゴーヤーのちょうど真ん中といった感じです。さっと湯通しししただけで果肉がきれいな翡翠色!。甘めの酢漬や味噌炒めにするとほろ苦さも生きて、おいしくいただくことができます。
(野菜ソムリエ、瀬田川千秋さん)


[ 材料 ]
きゅうり(大)1本 ミニトマト10粒 菊1/2パック
みょうが2本 ピクルス液:酢カップ1/2
砂糖大さじ3 しょうゆ大さじ1
オリーブ油大さじ1/2

[ 作り方 ]
[1]小鍋に酢と砂糖を入れて加熱し、砂糖が溶けたら、しょうゆとオリーブ油を加えて冷ましておく。
[2] きゅうりは乱切りに、みょうがは4つ割りにしてさっと湯通しをする。ミニトマトは皮を湯むきし、菊は酢少々を加えた湯でゆでておく。
[3][2] の水気をよく切って、[1]に浸す。すぐにいただいても、また冷蔵庫で2〜3日おいてなじませてもおいしい。


お問い合わせ先
JAあきた北央営農部
電話0186-72-4188 秋田県北秋田市米内沢字東川向120
mail:hokuo-einou@ja-hokuo.jp

※小様きゅうりは、市販されていません。



[2008年]
10月JAあきた北 みそっこ